笑い

実は笑いにうるさいタチです。

俺が育った徳島は在阪放送局の電波圏内、加えてもともと地理的にも大阪に近いということで、笑いに関しては関西のノリが強い。土曜、学校から帰って昼飯を食べながら吉本新喜劇を観るという文化もしっかりと根づいてます。

まぁ娯楽の少ない街だから、テレビは大きな楽しみの一つでした。テレビってのはご存知のとおり、広義の意味で非常に影響力の強いメディアだ。俺個人に関して言えば、笑いの部分は大阪から飛んできた電波にかなり影響されてると思いますね。俺が面白いかどうかは別の話ですよ、これは。念のため。そこらへんは周りで勝手に判断して下さい。判断しなくても結構です。

少し話は変わります。

大阪が東京に勝ってるモノは間違いなく笑いです。ブラウン管の中を見れば分かる。島田紳介明石家さんまナインティナイン…そしてダウンタウン。政治経済が東京一極である中、ブラウン管の中の笑いは大阪ナイズされてます。まぁ、売れたら東京に進出するという構図が結果的に東京優勢の象徴だが。

特にダウンタウンの登場はでかかったと思いますね。これで完全に笑いに関しては東京<大阪になった。関西の下町に根づいた毒気と嫌らしさを含んだ笑いが、ドリフやビートたけしといった東京のストレートな笑いを押しのけたのです。今の若い世代(もちろん俺も含めて)がドリフを観て笑えないのは、ダウンタウンの刺激的で毒気のある笑いを既に知ってしまっているからじゃないだろうか。少なくとも多少の影響はある。個人的には間違いなくある。

よくダウンタウンは「日本のお笑いを変えた!」と評されてますが、これは決して大袈裟じゃない。若手漫才師を見れば分かる。みんなダウンタウンナイズされた漫才をしてます。間違ってもドリフやたけし的な笑いはやってねぇよな。ダウンタウン…関西の下町の笑いが天下統一したのです。


ダウンタウンは面白い。これは間違いない。でも風刺的で毒気があって、相手の揚げ足をとってイジリ倒す攻撃的な笑いは面白いけど、これが日本の代表的な笑いのスタイルになってるのはどうだろうな。社会の一側面を表してる。松本は「放送室」だか何だかの本で、「自分は、女子からは嫌われ、一部の男子数名から絶大な支持を受けるタイプ」的なことを語ってます。そう、主流になるのは少し違うのだ。

ドリフのように身体を張った、どこか純朴で牧歌的な嫌らしさのない笑いを素直に笑えるってのも素晴らしいことだ。屈折していない古き良き時代を感じさせるのです、彼らは。そういう笑いが公然と受け入れられる社会は、きっと病んではいない。と思う。

しかしダウンタウンの笑いが分かる、母方の祖母の感覚の若さにはビックリだ。ひょっとしたらジャルジャルあたりの前衛的な笑いにもついていきますよ、あの祖母は。