本棚
今まで大学、サークル問わず数々の友人の部屋を訪れてきた。
そういう時、俺は必ず、本棚をチェックします。純粋にソイツがどんな本を読んでいるのか気になります。家主のイメージどおりの作家が並んでいる場合もあれば、意外な作家が並んでいる時もある。
あまたの作家がいる中、高確率で出くわすのが村上春樹。村上春樹は、まるでバイブルかのように本棚に並んでいる。ルールか?ちなみに村上龍には意外と出くわさない。
俺は村上春樹の良さが分からない人間です。そのことに対して多少のコンプレックスすら感じます。同時に彼を評価する世間一般に対しても。
結局のところ俺は単純で、楽天的で、世俗的であることを好み、簡単に言ってしまえばアホなのです。故に村上春樹のダウナーでニヒリズムに満ちた世界観が嫌いなのだ。悲観的で自己否定に満ちた太宰も解せないに違いない。
しょうがない。これは稚拙ながらも自分の人間観なり世界観をある程度確立しているということにしておこう。そういうことにしておこう。それが村上と相反するだけだ。それだけだ。…ほら、深く考えようとしない。脳みそが足らんのは確実ですね。
村上春樹風に記述すれば
「僕は自分の浅はかさについて考えようとした。古びたキッチンで過分なくらいの湯を沸かし、それをインスタントのコーヒーパックに注ぎ、角砂糖を2個入れて少し熱すぎるコーヒーが出来た頃には、昨夜抱いた女のことを考えていた。次に考えたのは今日抱く女のことと、避妊具をつける時の滑稽さについてだ。僕は諦めて湿気た二本目のセブンスターに火をつけた。コーヒー農園の不幸な労働者に思いを馳せることもなく。やれやれ」
こんな所か。
違う?
これじゃ、ただのエロでアホな男ですね。
ちなみに女の子をとっかえひっかえする甲斐性は、俺にはないです。念のため。例文ね、例文。やれやれ。
…村上春樹、面白い?