ヒミズ

漫画ってかなり高度な表現方法ですよね。

画という視覚的な情報、台詞という言語的な情報の両方を兼ね備えてる。映画やドラマように莫大な制作費もかからないし、画がある分、小説よりも簡単に状況説明ができる。持ち運び可能で場所を選ばず、手渡しもできます。

確かに小説や映画に比べると幾分の俗っぽさは感じるが、それはコンテンツの問題であって、漫画自体の表現方法の有用性はかなり高い。その俗っぽいイメージも手ごろ・身近という印象を与えられるから、多くの人に慣れ親しんでもらえる。かなり羨ましいぞ、漫画家。


ということで、漫画を一冊紹介。稲中卓球部でお馴染み、古谷実の「ヒミズ」。

ヒミズ 1 (ヤンマガKC)

何の取り得も無い中学生・住田。ニヒリスト・リアリストな彼は、夢や希望を持つことを異常に嫌う。何の才能もなく、何の希望もない。彼の望みは、淡い夢など描かず「普通の人生」を歩むことでした。誰にも干渉されず、また自分も誰にも干渉しない…。しかし不遇の家庭環境と、ある重大な事件から、彼は中学生にして自分の人生に完全に見切りをつけてしまいます。そこから彼のとった行動と、彼の結末は…。まぁ、彼は大人なようで、とんでもなくガキなんです。

「笑いの時代は終わりました…これより、不道徳の時間を始めます」

このコピーのとおり、古谷実は続く「シガテラ」「わにとかげきず」でも病んだ人間や、歪んだ人間を描きまくります。でも、病んでる度は「ヒミズ」がダントツ。まぁ、ネットカフェででも読んでみて下さい。あんな主人公にならないでね、みんな。しかし、古谷実はこの作品で劇的に作風を変えた。とても稲中卓球部の頃からは想像もできない変化です。個人的に彼に何があったのかが気になる。むしろ、稲中が彼の路線から逸脱してただけかもしれない。結果的に。

でわ、俺はこれからレポート書きます。ちなみに、俺のレポートは漫画よりくだらないです。