京都狭し
ヨシナガさんと共に、イワモトの引っ越しを手伝いました。
イワモトってのは新聞部の腐れ友達で、ヨシナガさんってのは俺らの兄貴的存在です。見事に全員が集合時間に大遅刻しましたが、俺達はインド人並みの大味な時間感覚を共有しているので咎める奴は誰もおらず、とりあえずレンタカーを借りに行きました。
百万遍の交差点あたりで煙草をふかしていたら、人を殺さんばかりの物凄い形相をしながらチャリを猛スピードでこいでいる大男を発見。チャリの前カゴには学生新聞がドッサリと積まれており、けたたましいブレーキ音を上げながらチャリが止まる。北海道からやってきた軍人…もとい、ラガーマンHARAでした。後輩です。相変わらず殺し屋みたいな顔してました。
「今週のラグビー来れますか?すいません、教授に呼び出されてるんでもう行きます。失礼します!」
急な出撃命令を受けた空軍のパイロットのように京大へ向かって、また全速力でチャリを飛ばして行くHARAを見送って、トラックに荷物を積み込みました。イワモトの新居は、めちゃくちゃ味のある築何年か想像もつかないようなアパート。アパートと言うより、「荘」と言った方が適切かもしれない。いいよなぁ、ああいうの。清貧とはまさにあのような生活スタイルを指す。適当に荷物を搬入して、あっさりと引っ越し作業は完了。3人で中華そば食って、昼間からビールをひっかけて適当に解散しました。
京都はいい。大学同士が近いので、いつでも簡単に集まれます。「飲もう」と声を掛ければ20分もしないうちに人が集まる。高校時代の友人なんか5分で飛んでこれる位置に下宿してます。繁華街で出くわすこともしょっちゅうです。
そんな愛すべき京都を2月いっぱいで去ることになりました。できれば卒業式までこっちで馬鹿やってたかったんですが、無理みたいです。ということで俺は2月までしか京都にいないので、飲みたい連中は気軽にメールください。オヤスミ…HARA。
歩兵の本領
バイト終わりに御所を2周。息もきれぎれに8キロを完走し、冷えたコンクリートの上でスクワット80回、腕立て40回。腹筋は背中がコンクリートに打ちつけられて痛かったので20回。
筋肉に乳酸が蓄積されていく感覚と、「あと10回!」を「やっぱり5回…」にしてしまう己の意志の弱さと久しぶりに再会しました。明日、さすがに下半身は筋肉痛だろうな。
さて、なぜ急にこんなことを始めたのかと言えば、やっと浅田次郎の「歩兵の本領」を読み終えたからです。
浅田次郎は自衛隊出身という珍しい作家です。彼は東京の名門進学校を卒業した後、京大を目指す為に1年間浪人することを選択するが、その浪人中に傾倒していた作家である三島由紀夫が自衛隊の市ヶ谷駐屯地で割腹自殺をしたことにやんごとなき衝撃を受ける。そして浅田青年は自らが傾倒した一人の文豪の奇行に納得できず、受験をほっぽり出して、その答えを探す為に実際に自衛隊に入隊してしまいます。ちなみに浅田は生前の三島に実際に遭遇してます。言葉は交わしていないのだけれど、あれは運命だった、とか抜かしてるところが自意識過剰で可愛い。
そんな浅田次郎に昨年、取材する機会があったのです。その時、彼はインタビュアーである俺達に「若いうちはとにかく体を鍛えなさい。文弱では駄目だよ」と、静かに言いました。
なんだかんだと理由つけて、俺にとってはもはや啓示とも言うべきその言葉を今の今までシカトしてたんですが、「歩兵の本領」を読了後、ついにやる気になったワケです。すげぇよ、浅田。浅田青年もあんなにきっつい訓練をして、失敗とも言えない失敗で理不尽に殴られてたんでしょうか。
「とにかく体を鍛えなさい。文弱では駄目だよ」。浅田の自衛隊経験が詰められたこの本を読んで、その言葉に現実味と重みが増しました。遅咲きの作家生活十数年で70冊以上の本を世に送り出すには、経験値・発想力はもとより、最後は体力なのです。いい仕事をするには健全な精神、そしてそれを支える健全な肉体。そして奇しくも、扱う内容は随分と違いますが、来年から俺も物書きの端くれです。浅田青年が三島に勝手に運命を感じたように、俺も勝手に運命を感じてます。ま、それほど傾倒してるワケじゃあないんですがね。
ちなみに浅田次郎を読むなら「蒼穹の昴」がお薦めです。代表的著作とされてる「鉄道員」は個人的にいまひとつでした。では、久しぶりに味わう筋繊維の再結合の痛みを楽しみにしつつ、短い眠りにつきます。明日はイワモトの引越しの手伝いです。筋トレ代わりに頑張ってきます。では。
寒い
朝寒ぅ〜。
めちゃくちゃ朝寒いですね。もう冬の寒さですね、早朝だけで言えば。コンビニまで煙草買いに行くのが面倒くさい季節になってきました。夏は夏で面倒なんですが。ちなみに、どちらかと言えば、冬の方が好きです。
こんなこと言っても仕方ないですけど、一番過ごしやすい春と秋の期間が短すぎますよね。もうちょっと粘って欲しいです。あっさりと夏や冬にバトンを渡すな。過渡期は過渡期なりの粘りってものがあるだろうが。知らんけども。
今日は夕方まで予定がないので、朝から飲んでやろうと思います。夕方に遊びに来る奴が少々陰気くさく、そのくせ豪快に飲むので、それを口実にさっさと布団かぶって寝てしまおうってワケです。では。
鯖缶
バイト終わりに館長が鯖の缶詰をくれました。
197円という値札が貼られた鯖缶。そこらへんのスーパーに山積みされてるような、普通の鯖缶です。何故かこれが思いのほか俺を苦しめます。俺はバイト場で館長や司書さんから「細いな〜」と言われる度に「あんまり飯食ってないんすよ」と答えてました。故に館長は飯の食えてない俺の為に、「こんなんで申し訳ないけど」と照れながら鯖缶をくれたワケです。
俺がバイトを続けているのは金の為です。必要以上に周りの人間と仲良くなろうとは思ってません。司書さんや館長の話に便宜的に相槌を打ち、愛想笑いをする。つまらん話でも、大仰にリアクションを取る。正直、アホらしいと思ってました。半年後にあっさりと辞めるのが分かっていたら、尚更です。むしろ早くおさらばしたいというのが本音です。
そんな俺にみんな優しくしてくれます。司書さんは「この本いいよ!読んでみて!」と図書館カードを作ってくれ、館長は鯖缶をくれる。たまに飯も奢ってくれました。鯖缶というチョイスには疑問は残るが、そこは大きな問題じゃない。でも罪悪感を感じたところで、どうしようもない。ただ巧く言語化できないけれど、こんな自分は少し残念だと思う。俺は時給800円分の働きをしていても、197円の鯖缶を貰えるほどの誠実さを彼らに対して持っているだろうか…。
朝型人間宣言
眠れませんでした。
今日は8時45分からバイトなのでもう寝ません。起きる自信がありません。ちなみに現在午前5時45分です。バイトが終わるのはちょうど12時間後ですね。
いい加減にこの生活リズムから脱却しないとな。実際、深夜に起きていてもやることはない。不毛の一言に尽きます。中途半端に酒が入ってると本を読む気もなくなるし、テレビは相変わらずつまらん。ネットの世界が無限に広がっていても、俺の好奇心が有限なので、あえなくシャットダウン…。あとは煙草をひたすら吸うだけです。
ブラジル人が絶好調の時間帯に、俺も絶好調なのは間違ってるな。変えよう。今日から頑張って朝型人間になります。
さらば、浪人時代の負の遺産。